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warehouse 赴くままに乙女ゲーやハマったゲーム等のSSを期間限定で書き綴る予定です(゜Д゜)

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昔ブログ拍手お礼04-コードギアスLC-カレンとライ

ロストカラーズよりカレンとライ。
久しぶりにフォルダ見たら拍手御礼で16本とか当時の私の頭はどうなってたんだ…
多分重症




 女生徒達からの『発見探検幻の美形』の手から逃れるべく、ライは学園内を走り回っている。最初はただ遠巻きに何事か囁き合いながら、それでも充分ライにとっては気になる状況だったのだが、囁き合っていた女生徒達が一斉にライに向かって走り出してきた。普段は冷静なライも流石にこの状況には慌てたらしく、購買で購入したパンの袋を引っつかむと慌てて逃げ出した。
 ミレイあたりになんとかしてくれと頼もうかとも思ったが、あの性格からすると逆にこの状況を楽しむことは容易に予想できた。頼りになる生徒会長は時として最強の敵になる事もあるらしい。

 (屋上に……! いや、だめだ、それ以上の逃げ場は無い。なら自分の部屋に戻るか? それも無理だ、部屋にまで押しかけられたらまずい。あそこには黒の騎士団の作戦プランやらが散らばってる! それにC.C.がいる可能性もある。あとは……教室、生徒会室……)

 頭に浮かぶ逃げ込めそうな場所の位置と問題点を挙げ候補から消していく。まさかこんな平和ですと言わんばかりの学園で黒の騎士団戦闘隊長である自分がここまで窮地に陥るとは思っても居なかった。ゼロや扇が認めてくれたのでもしかしたら自意識過剰になっていたのかもしれない。いっそのこと女生徒の話を聞こうとも思ったがあの鬼気迫る顔と声にどうしても足は止まらない。捕まったら最後、何をされるか分からない恐怖がライを覆う。この恐怖は、月下で戦場を駆る時以上かもしれない。

 「ライ! こっちに!」
 「っ、カレン!?」
 「早く!!」

 物陰からカレンが学園で見せているお嬢様の顔ではなく、黒の騎士団の時の本来の声と表情のまま手招きをしている。流石のライの状況に見かねたのかすぐに反応できなかったライに痺れを切らし、腕を掴むとそのまま自分の方へと引き込む。
 走っていた不安定な体勢から倒れこむように隠れると、頭の上をライを追っていた女生徒達の声が掠めていく。口々にやっぱり幽霊だったんだよ、もしかして魔法使い!?など様々な感想を残して。

 「助かった……。ありがとうカレン、どうやって逃げようか困ってたんだ」
 「そ、そう。それは良かった。ねえ、ライ?」
 「どうかした?」

 完全に追っ手の気配が消えるのを待っているライはカレンの困惑した声に気づかず、じっと走ってきた方向を見つめ耳を澄ましている。自分が今どんな体勢でいるかも、まだ気づいていない。

 「早めにどいてくれると、嬉しい……んだけど」
 「え……あ!」

 気配が消えたのを確認し、改めて見てみる。カレンが、自分の下にいた。赤い顔をしライをちらりと見てはすぐどうしていいのか分からない素振りを見せる。
 これは所謂『押し倒している』という状態……。

 「ご……ごめん、その、わざとじゃなくてっ、これは!」
 「わ、分かってる! 分かってるから!! ライが狙ってこんなことしないって、だから落ち着いて!」

 慌ててカレンの上から飛びのき壁際にへたり込むライの顔も、また赤い。勿論ライはわざとカレンの上に倒れこんだわけではないし、カレンもこうなることを予想してライを引っ張ったわけではない。偶然の出来事なのだが、それでもこの状態はかなり気まずい。

 「えっと、本当にごめん。あと、助けてくれてありがとう。カレン」
 「ううん、こっちこそいきなり腕掴んだりしてごめん。あ、怪我とかしてない?」
 「大丈夫、平気だよ」

 気まずい状況を打破するべくややぎこちなく、軽く微笑むとカレンも安心したようにライに微笑み返す。普段ならおしとやかなお嬢様を演じているカレンなのだが、最近は素の部分を見せてしまうことが多いらしく、今日も昼食に誘われる前にこうして隠れるようにして一人で食べていたらしい。

 「一人で食べてたのか?」
 「うん。ライは、お昼どうしたの?」
 「僕は購買でパンを……あれ、無い。さっき逃げてる途中に投げたのかな」
 「投げたって……。もう、仕方ないなぁ。はい、これあげる」

 持っていたはずの袋が無くなっていることに今気づいたライがしまった、と漏らす。これから買いに行くにしてもまた女生徒達に見つかる可能性は大いにある。昼食は諦めるか、空腹を訴え始めている腹をさすって慰めてやっているとカレンがいきなり腕を突き出してきた。

 「お弁当、半分あげる」
 「カレン?」
 「勘違いしないでね! 今日たまたま作りすぎてて……食べきれなくてどうしようかと思ってたところなだけだから! 別にライに食べてもらおうと思って作ったわけじゃないわ」
 「……うん、ありがとう。カレン」
 「っ! だからライの為に作ったわけじゃないってば!」

 突き出した腕をライの胸に押し付けるようにしたままカレンが先程よりも顔を真っ赤にして、睨みつける。その赤い顔を見つめながら、今度は出来るだけ感謝と喜びを込めてもう一度、カレンに向けてライは言った。

 「ありがとう、カレン」

 災い転じて、福となる。

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