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warehouse 赴くままに乙女ゲーやハマったゲーム等のSSを期間限定で書き綴る予定です(゜Д゜)

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うたの☆プリンスさまっ♪-翔02-

来栖さん家はお母さん最強伝説。

友人にネタを頂いて書きました!来栖さん家のお話です。
Repeatの大恋愛アフターネタバレ含みますので気になる片はバックオーライでお願いします。



 その日、薫から連絡があって俺は久しぶりに実家に帰ってた。お袋がいきなり家に帰って来たって言ってたけど、急すぎるだろ。今日はオフだったから春歌と久しぶりに出かけようと思ってたのに……。まあ春歌も「お母さんが帰って来てるなら行ってきた方がいい」なんて真剣な顔して言うんだもんな。そこまで言われたら帰るしかないじゃんか。

 「久しぶりだな、小さき方の息子。背は伸びてないようだが人間の大きさの方はどうだ?」
 「小さい言うな!」

 やっぱ帰ってくるんじゃなかった……。
 家に戻ってきた俺に、お袋は開口一番そんな言葉を投げてくる。薫はそんな俺達を見てなんか嬉しそうにしてるし。おい、俺が小さい方の息子って所に笑ってるわけじゃないよな?

 「ん? んん?」
 「な、なんだよ」

 いきなりお袋が俺の後ろを覗き込む。当たり前だけど俺の後ろには誰もいなくて、それが分かるとあからさまに落胆した様子で薫に何か目配せしていた。なんだなんだよほんと。

 「彼女は連れてきてないのか」
 「彼女って……。おい薫。どういうことだよ」

 どうやらお袋は俺が春歌を連れて帰ってきてると思ってたらしい。何となく事情は掴めたが、俺は帰るって連絡したとき一言も春歌を連れて行くなんて言ってない。それなのにこの反応って事は、大方急に帰って来たお袋が騒いで薫が落ち着かせる為にきっと一緒に来るからとか言ったんだろうな。案の定俺が薫の方を軽く睨んで見ると、困ったように眉を下げて声には出さず、口だけ動かして「ごめん」と謝った。いいよ薫。お袋が一回気にして騒ぎ出すと収めるの大変なのは、俺もよく知ってるから。

 「言っておくけど、春歌は別に俺の実家に来たくなかったとかそういうんじゃねーからな! あいつ気遣ってお袋が帰って来てるなら行ったほうがいいって言ったんだからな! そこ間違えんなよ!」

 俺だって連れて来たかったけど、すげえ真剣な顔して折角の家族団らんに邪魔出来ないとか言われたら言い返せないじゃん。でもそれが結果的に良かったのかもな。だってお袋、春歌見たら絶対余計な事言いそうだし。特に俺の昔の恥ずかしい事とかすげー楽しそうに話しそうだもんなぁ。

 「安心しろ小さき方の息子よ。そんなこと微塵も思ってないぞ。手紙での様子を見ると相当惚れ込んでいるのは分かってるからな。小さい頃こんなことしでかしたとか、こんなこともやったとか恥ずかしい過去をバラそうなんて全然思っていないぞ。全然」
 「それ春歌連れてきてたら言う気満々ってことじゃねーか!!」

 ああくそ、やっぱりかよ! お袋の事だからある事ない事言わないのは分かってる分タチが悪いんだよ! 全部本当のことだから余計にな!
 俺が叫ぶと、薫が止めに入ってくる。喧嘩してるわけじゃないのは薫もよく分かってるもんな。ただな、その笑い堪える顔で止めに入るの止めろ。お前楽しんでるだろこの状況。
 とりあえず落ち着いたら? と薫に諌められ、俺はソファに腰を下ろすと正面に座ったお袋が足を組みなおし、今度は俺の顔をじろじろと見てきた。今度は何だよ……。

 「ほう、ほうほう」
 「言っておくけど背は伸びてねーぞ」

 もう自棄だ、自棄。お袋が言いそうな事を先に言ってやると、お袋は不思議そうに首を傾げた後「それは聞かなくても分かる」と言った。いや、それはそれでどうなんだよ……。

 「着々と人間の大きさは育っているようだな」
 「はぁ?」

 昔体の大きさより器のでかい男になれとか言われたことあるけど、そのこと言ってるのか? そりゃあれから一年以上経ってるんだし、アイドルとしてデビューもしたし、何より俺には今春歌がいるからちょっとはそっちも成長してないと正直困る。自分では実感してるつもりでも他人からはそうは見えないかもしれないからって思って自分からは言わなかったんだけど、お袋から見ても俺はちょっとは器のでかい男に見えたってことなんだろうか? やばい、それはすげー嬉しい。春歌もそう思ってくれてるならもっと嬉しいんだけど、恥ずかしくて聞けないよなぁ。

 「ますます会えなかったのが悔やまれるな……。そうだ、薫。彼女の連絡先知らないか? 今からでも来れないか聞いてみてくれ」
 「ちょ、おい! 何言ってんだよお袋! 薫も知ってるとか言うんじゃねーよ! ってかいつ春歌と連絡先交換してたんだお前!!」

 やっぱり諦めてなかった。真顔で春歌と連絡取ろうとするお袋を止める。こんな時に親父がいてくれたら一緒に止めてくれるんだけど、親父はまだ帰ってきてないようだった。しかも薫も満更じゃないみたいだし。おい、お前は俺の味方じゃねーのかよ! 後で春歌とどうやって連絡先交換したかは薫にじっくり聞かせてもらうからな! うるさいな、嫉妬してるんだよ悪いか!
 俺がお袋に春歌を会わせたくないのは、お袋が春歌の事を気に入るのが分かってるからだ。むしろ気に入らないはずがない! 浴衣送ってきて神社の暗がりがおすすめとか言うお袋と春歌が会ったらどうなるか考えるだけでも怖い。絶対かまい倒す、絶対に。そんで春歌は俺のお袋だからやめてくださいとも言えずに顔真っ赤にして泣きそうな顔しながら俺を見るに違いない。やばい、想像したらちょっとそれはそれで可愛い。

 「隙ありだ、小さき方の息子!」

 そんなアホみたいな想像してる一瞬の隙を突いてお袋が俺のカバンを取り上げ、素早く漁るとにやりと笑い、突っ込んだ手を一気に引き抜く。その手には――。

 「ああああああ! 人の携帯取ってなにしてんだよお袋!」
 「なに、薫から連絡を取らせるのは嫌そうだったので、この携帯から連絡しようと思ってな」
 「連絡しようと思ってな、じゃねえええええ!! プライバシー侵害もいいとこじゃねえか! 親子だってやっていいことと悪いことがあるだろうが!」
 「そんなプライバシーは知らん。よそはよそ、うちはうちと言うやつだ」
 「おいいいいいいいいいいいいい!!」

 俺の抗議を一蹴して、お袋は携帯を開いて春歌の連絡先を探す。勿論阻止しようとして慌てて立ち上がろうとした、んだけど。

 「放せ薫! まあまあとかそういう次元じゃねえ!」

 俺とお袋の間に薫が滑り込んできて、止める。俺のほうを。なんで俺!? 今の状況からしてお前が止めるのお袋の方じゃないか!? ほら、翔ちゃん困らせたらだめだよとか、それは良くないとか色々あるだろ! やばい、俺からの連絡だったらあいつ絶対出る。んで開口一番「翔くん?」ってすっげー嬉しそうな声出すんだ。そんな声お袋に聞かせてたまるかあああ! 絶対阻止してやる!

 「もしもし? 私だ、私」
 「詐欺か! 名乗れよせめて!」

 薫に羽交い絞めにされながらも何とか手を伸ばし、携帯を奪取しようとする必死な俺を横目で見ながら春歌の連絡先を見つけたお袋が携帯に向かって詐欺みたいな事を言い出す。しばらく待って、春歌が応答したのかその声を聞くとお袋の口元が緩む。やばい、あの顔はやばい。

 「おいお袋、マジでやめ……」
 「来栖の小さき方の息子の母です。お前の大事な男は預かった。返して欲しくば今すぐ来栖家まで来い」
 「誘拐みたいなこと言ってんじゃねえええええええ!!」

 ……ああ、やりやがった……。春歌絶対びっくりしてるだろ……。むしろびっくりしすぎて転んでるかもしれない。もしくは俺のお袋ってところすっ飛ばして本当に誘拐されたと思うかもしれない。ごめんな、春歌。悪気はないんだよお袋。その分タチが悪いっちゃ悪いんだけどな。
 未だ薫に羽交い絞めにされながら、何かを春歌と話すお袋の様子を見て思う。きっと今一生懸命お袋の言葉聞いて急いでこっちに来ようとしてるんだろうな……。
 ごめんな、春歌。こっち来たらちゃんと説明するし、お袋がなんかしようとしても、俺が絶対守ってやるからな!

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