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warehouse 赴くままに乙女ゲーやハマったゲーム等のSSを期間限定で書き綴る予定です(゜Д゜)

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タイバニ夢練習作後編

書いてる途中で二回もPC固まるとかどういうことなの……
とりあえず無理やりプロローグ終わり!




 (何でこんな所に人がいるの!? と言うかなんでこの状況で話しかけてきてるのこの人!)

 爆発が起こる中必死にこちらに近づこうとしてくる中年男性の姿には脅え半分、呆れ半分の気持ちでその姿を見つめていた。爆発が止まれば相手が何を言っているか聞こえるのだろうが、この爆発を起こしている当人、でも止められない。NEXTと言う特殊能力らしいのだが、発現してからまだ日が経っていないからなのか、それとも別の理由からなのか力を抑える事が出来ないでいた。

 「あ、あの! 申し訳ないんですけど私、この力止められないので!」
 「あぁ!? なんだって!?」
 「ですから! 爆発させてるのは私なんですけど、どうやって止めたらいいか分からないんです!!」

 足元で起きる爆発をギリギリのタイミングで避けながら虎徹はの必死な声を聞く。どうやらNEXTを使った強盗ではないらしい。犯罪で無いことに安心しかけたが、状況は良くない方へと向いている気がした。

 (力が制御出来ないって、そんなのありかぁ!?)

 そんな話今まで聞いたことはない。少なくとも虎徹の周りでは。自分の相棒バーナビーが怒りにまかせ力を使い暴走しかけたことはあったが、あれはただ単に感情が昂っただけであり彼が落ち着けば力も自然と落ち着いた。

 「私が言うのもあれですけど、早く逃げた方がいいと思うんです!」

 この間にも爆発は起き続ける。それどころかさっきより爆発の規模が大きくそして確実に自分を狙ってきている気がした。
 逃げたいのは山々だが、はいそうですかと逃げられる性格の虎徹ではない。目の前で困っている人間がいれば助けたくなる、バカがつくほどのお人よしなのが虎徹だった。

 「よし、深呼吸だ! まずは落ち着いて深呼吸をしてみろ! はい吸って~吐いて~ヒッヒッフゥ~」
 「すー、はー、ヒッヒッフー……ってこれラマーズ法じゃないですか!」
 「でもほら、止まってるじゃないか」
 「え?」

 思わずツッコミをした後に虎徹に冷静に返され、気づく。今の今まで爆発していたはずなのに、ぴたりと止まっていた。

 (ツッコミしたら止まるNEXTか、新しいな)

 そんなはずはない。



******



 思い出しただけでなんともいえない苛立ちと情けなさが胸を支配する。自分では止められない能力、制御出来なければ確実に誰かを傷つけてしまうであろう能力が今はおさまったとは言えまたいつ発現するか分からない。
 虎徹を見てがいらついてしまうのは、その時の不安を思い出してしまうから。本当ならあの時止めてくれたことを感謝したいのだが、なかなかタイミングが掴めず、あれから虎徹がの働く店に顔を出しに来る度にこんな態度を取ってしまっていた。

 「…お待たせしました、ブレンドです」
 「お、サンキュー。どうだ、最近」

 の複雑な心境を知ってか知らずか、カウンターに片肘をついた虎徹がに向かって屈託のない笑顔を見せる。笑った顔は少し幼く見えた。

 「最近って……特に、何も」
 「力、暴走したりしてないか? 悩んでないか?」
 「っ!」

 知らず知らずのうちに顔に熱が集まるのを感じる。虎徹は恐らく純粋に心配してくれての働く店に通い、こうして顔を見せてくれているだけで、他意はないはず。しかしこんな風に食い入るように見つめられ、言われれば勘違いしそうにもなる。
 エプロンを握りしめ、少し赤くなっているであろう顔を隠すように背けわざとぶっきらぼうに

 「ない……です」

 そう答えるのが精いっぱいだった。
 愛想も何もないの言葉に虎徹は笑顔を深くしながら「そうか」と呟きコーヒーカップに口をつけた。

 「あ、あの」
 「うん?」

 虎徹が店に顔を見せる度に何度も喉に出かけては出せなかった言葉を意を決して言おうと背けた顔を虎徹へ向け、エプロンを握った手を放し口を開く。

 「あの、時は、ありがとうございました!」
 「何が?」
 「何がって……その、あの時、ほら、私の……」
 「あーあーあー、あの時のか。どうした、今頃になって」

 NEXTの事、とはお互いに口にはしない。今でさえヒーローTVが浸透し、NEXTと言うものが認知されている世ではあるが、未だにNEXTを異端視し、差別する人間がいないわけではない。それを踏まえてお互いに『あの時』と言う表現を使う。

 「ずっとお礼言いたかったんですけど、機会を逃したと言うか、何というか……」
 「俺はてっきり余計なことすんなって言われるかと思ってたけどな? お前俺のこと嫌ってるみたいだし」
 「嫌ってなんていません!」
 「そうか、じゃあ好きか」
 「はあ!?」

 せっかく素直に礼が言えそうな空気だったのに、虎徹が場を茶化しその空気をぶち壊す。は何も言っていないのに虎徹は照れた様子で「参ったな~」やら「俺、娘いるしそういうのはちょっとな~」などと一人で盛り上がり始めた。

 「誰が……」
 「お?」
 「誰が好きだなんて言った、この勘違い虎男爆発しろ!!」
 「うおぉ!?」

 虎徹の持っていたコーヒーカップが、派手な音を立てて爆発した。
 とヒーローと呼ばれる彼等が出会う前の、入口の物語。

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