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warehouse 赴くままに乙女ゲーやハマったゲーム等のSSを期間限定で書き綴る予定です(゜Д゜)

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【GS3】桜井琉夏練習SS

書きたい熱ががーっと上がってどうしていいかrべちに聞いたら「書けばいいと思うよ!」って言われた(脳内意訳)から書きましt


まだどんな性格かわからんのに結構ネタバレが入ってるし暗いような気がしないでもないので、閲覧の際には注意で!

※デフォルト名が分からないのでバンビの名前は適当に付けてます。
古賀(所属部が柔道部だったから+EVS候補から)鳴(響きが可愛い。ただそれだけ!)です。









――小さい頃は何度も会いたいと願っていたのに、その願いが叶うとオマエに会うのが怖くて仕方ないのは何でだろう?




再会したのが、昔兄と彼女とよくかくれんぼをして遊んでいた教会。兄――コウ――と二人の時はもっと乱暴な遊びをしていたが、彼女が来るとそれをやめて、いつも三人でかくれんぼ。コウはあまり楽しそうではなかったけれど、それでも一人でどこかにいってしまうことはなく、根気よく自分たちに付き合ってくれていた。
あの時の思い出は、今は重く固まってしまっている自分の心を少しだけ明るくしてくれていた。でも、ほんの少しだけ。今では重い方が勝ってしまっていて、昔の事を思っても心は重いままで、どこか遠い、別の誰かの思い出を覗いているような錯覚さえ覚えていた。


――あの日までは。


古賀鳴は、俺とコウの幼馴染。記憶の中の女の子。
記憶の中のあの子は、いつも笑ってたっけな。彼女が引っ越しをするまで時間も忘れて遊んでいた、俺の中の小さな女の子。
それが、今。

「もう、琉夏くん聞いてるの?」

隣にいる。
しかも、大きくなって。
『もう』って言って怒ったり、困ったりするところも、真っ直ぐに目を見てくる所も全然変わって

なくて、思わず笑いそうになるのを堪える。危ない危ない、ここで笑ったりしたら、また怒られる。

「ごめん、聞いてなかった」

素直にそういえば、眉を少しだけ上げた彼女がもう一度「もう……」と呟き、諦めたように視線を俺から放す。
頬にかかる髪が、海から来る風に浚われて、横顔を露わにする。
今俺は、高校進学を期にこの街に戻ってきた彼女と同じ高校に通っていた。別に、彼女がいるからはばたきを受けたわけじゃない。再会は、本当に偶然だった。一瞬サクラソウが俺の願いを聞き届けてくれたのかな、そんなことも思ったが、そんなことはない。きっと、ない。願いが聞き届けられているのなら、俺は彼女の前に会いたい人たちがいるはずだから。

「屋上での事。もうあんなことしちゃだめだよ? 危ないし」
「大丈夫、俺不死身のヒーローだから」

どうやら今日俺が屋上で昼飯代を賭けてやった塀渡りの事を言っているらしかった。コウと二人で家を出て、二人でバイトをして暮らしている俺達に余裕なんてものは全くなかった。食べざかりの男二人暮らし、食べ物に電気、ガス、水道、生活必需品。学校があるからバイトをそう多く入れることもできない俺が考えた、昼飯代を浮かせる方法が彼女はお気に召さないらしい。
しょうがないじゃん、サッカーの助っ人の依頼、最近来ないんだ。それに俺育ち盛りだし。
そんな不満が顔に出てしまったのか、視線を感じ眼だけで横を見るとちょっと睨んだ感じで彼女が

見てた。だめだよ、そんな顔したって可愛いだけで全然怖くない。

「あの後琥一くんにも怒られたんでしょ?」
「ああ、うん。殴られた」

『中坊の頃は違うんだよ』そう言われて、デカイ手で頭を張られた。あれ、本気だったろ、コウの奴手加減知らないからなぁ。
全面的に俺が悪い。分かってる。でもそうやって正論を言われると何だか腹が立つ。勿論これは俺の一方的な考えだし、今思えば俺は、バカだ。屋上の塀渡りと……鳴ちゃんを悲しませたことも。コウはその分も入れて俺の頭を張ったのかもしれない。

「大丈夫?」

俺の表情が沈んだように見えたのか、鳴ちゃんがそっと労わる様に俺の後頭部を撫でてくれていた。俺なんかより全然小さくて、細い指が髪の間を梳くように撫でていく。その部分から優しさが俺の中に流れ込んできて、胸にある重いものが少しだけ軽くなっていくのを感じた。
やっぱスゲェや、鳴ちゃんは。

「俺鳴ちゃんにそうやってもらうの、好きだ」

そう言って横を見れば、一生懸命背伸びをして俺の髪を撫で続ける鳴ちゃんと目が合った。一瞬驚いたみたいな顔して、それから嬉しそうに笑う。
笑った顔は、変わってない。あの時から、全然。

「琉夏くん髪染めてるのに全然痛んでないんだね、さらさらで気持ちいい」
「そう? 鳴ちゃんの髪も気持ちよさそうに見えるけど。撫でていい?」
「んー……。だめ」
「なんで」
「だって、恥ずかしいし」

自分は俺の髪撫でてるのに、俺が撫でるのは恥ずかしいの? 変なの。
吹き出すと『だって』と慌てたように鳴ちゃんが何か言おうとする。しまった、余計な事言わなきゃよかった。
俺を撫でていた手が離れ、胸元で小さく拳を作ってしまう。照れたように、少しだけ顔を赤くして小さく『琉夏くんも、琥一くんも、私も。もうそんなに子供じゃないもんね』と呟く。
確かに俺も、コウも、鳴ちゃんもあのころとは違う。そんなに変わらなかった目線も今じゃ全然違うし、コウなんて更に違う。でも子供じゃないから、そんな理由で撫でてくれていた手を放されるのは、嫌だ。
嫌だから。
拳を作っている手を取って、俺は少しだけ体を屈めて無理やり鳴ちゃんの手を自分の頭に乗せ、無造作に動かしてみた。

「る、琉夏くん!?」

俺の急な動きに驚いて手を引っ込めようとする彼女の手首をしっかりと掴んで、上目で様子を窺うと声と同じぐらい動揺してる顔が目に入った。
ああ、可愛いなぁ、本当。

「ね、もうちょっと撫でて?」
「えぇ!?」
「俺鳴ちゃんに撫でてもらうの、スゲェ好き。だから、ね?」

困ってる困ってる。
今は多分、どうしようか悩んでる顔だ。撫で始めたのは自分だから、嫌だって強く言えない。でも、恥ずかしい。そんなとこでしょ? 鳴ちゃん。でも俺、ワガママだから。オマエにだけはワガママ言いたくてしょうがないから、譲らないよ?

「もっと撫でやすいようにしゃがもうか」
「もう、琉夏くん!」

あ、また『もう』だ。今は怒ってるのかな、それとも困ってるのかな。どっちにしろ俺、もうって言う鳴ちゃんの顔、大好き。



――ねえ、何でだろう。俺、今すごく幸せだって思ってる。でも、同時にそれが凄く怖いんだ。オ

マエのことがどんどん大事になっていけばいく程、この手が欲しくて仕方なくなればなるほど、怖くなるんだ。
幸せすぎて怖いとかそういうのじゃなくて、ただただ怖い。
ねえ、なんでだろうね? 何で俺、こんなに怖いのかな。

「撫でて、鳴ちゃん」

怖いのに、こんなに怖いのに。俺はオマエから離れたくない。




――なんでだろうね?

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